世の中には、犬や猫などの可愛い動物が数多くいますが、実は神社と関りがあったことはご存知でしょうか?
よく見かけるのは犬のような動物をモチーフにした「狛犬」ですが、猫や馬などの少し珍しい動物もいます。ではなぜ、神社に動物の像が置かれているのか気になりますよね。
そこで本記事では「神社と動物の関係性や意味」についてご紹介します。十二支の干支が関係する神社もまとめているので、あわせてチェックしてみてください!
動物は神様の使い「神使(しんし)」
世界中には多くの宗教がありますが、日本で占めている主な宗教は、仏教、神道、キリスト教といわれています。
そのうちの神道において「神使」とは、神様の使いまたは神様の身内のようなもの。神様の意思を代行して現世に生きる人と繋がる役目を担っています。「神の使い」または「つかわしめ」ともいわれています。
「神使」である動物は哺乳類などの動物に限らず、想像上の動物まで幅広い種類があるそうです。
そんな動物の中から、誰もが知っている意外な動物を2選、ご紹介します。
神社でよく見かける動物2選
狛犬
「狛犬」とは、獅子(ライオン)に似た日本の想像上の獣といわれています。昔から、邪気や悪霊などから本殿を守るための魔除けであるとされてきました。
神前を守護するという意味があり、邪気や悪霊などを追い払う役割があります。
神社の入り口の両脇や参道、本殿の正面などに一対で向き合った状態で置かれているのが一般的。参拝者に真正面に向き合う形で置かれており、無角の獅子と有角の狛犬が一対となっています。
獅子は角が無く口を開けた「阿形」、狛犬は角があり口を閉じている「吽形」と区別されていました。
慣用句に「阿吽の呼吸」という言葉がありますが、神社の狛犬やお寺にある仁王像から派生した言葉なのだそう。
「阿吽」とは、サンスクリット語の最初と最後の文字の音に、漢字を当てて出来た言葉といわれています。
「阿」は全く防げない状態で口を大きく開いた音で、「吽」は口を完全に閉じた状態の音であり、「阿」は物事の始まりを表す言葉とされ、「吽」は物事の終わりを表す言葉とされました。
狛犬の「狛」とは、一説では、魔除けとして置かれたので「拒魔犬(こまいぬ)」と呼ばれていたといわれていますが、高麗から伝来したので高麗犬(こまいぬ)と呼ばれていて、それが変化して狛犬となったのが有力な説だといわれています。
稲荷神
「稲荷神」は稲を象徴とする穀物の神様で「稲荷大明神」とも呼ばれています。また、「おいなりさま」「おいなりさん」という名前でも親しまれている狐の神使であり、神様そのものともいわれています。
昔から狐は農耕が始まる春先から里に降りて姿をあらわし、収穫が終わる頃に山へ戻っていくため、農耕を見守る守り神のように考えられていたからという説があります。
そんな狐を霊獣として信仰し、五穀を司る神様である宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)の神使だと考えました。
農耕の神様である宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)と稲荷神が同一視されていることから、総本宮の伏見稲荷大社を含めて多くの稲荷神社では宇迦之御魂神を主祭神としています。
また、稲荷神が祀られている神社は、総本宮は京都の伏見稲荷大社を含め、全国に3万社以上あると言われています。
「稲荷」の言葉には「稲がなる」という意味が込められているように、稲荷神は農業神であるが、狐は穀物を食い荒らすネズミを捕食すること、狐の色や尻尾の形が実った稲穂に似ていることから、狐が稲荷神の使いに位置付けられたとされています。
ちなみに、伏見稲荷大社の狐は何もくわえていない像が多いですが、中には「稲穂」「巻物」「玉」「鍵」をくわえた狐も置かれています。
「稲穂」は、五穀豊穣の神様に由来しているといわれており、福の象徴に。
「巻物」は、稲荷の秘宝を表す象徴であることから、知恵の象徴といわれています。
「玉」は、「玉鍵信仰」に由来しており、玉は稲荷神の霊徳とされていて、鍵と同様に重要な信仰の対象になっていたそうです。
「鍵」は、倉庫の鍵といわれています。稲荷神が五穀豊穣の神様であることから来た考えといわれています。
打ち上げ花火が上がったときの掛け声に「たまや」と「かぎや」がありますが、「玉鍵信仰」と関係があるそうです。
神社で見かけると珍しい動物2選
狛猫
常にペットにしたい動物ランキングの上位にいる猫ですが、神社で「狛猫」として置かれていたら珍しいのではないでしょうか?
人生で一度も見たことがないという方も多いと思いますが、実は、京都府京丹後市峰山町の金刀比羅神社に行けば阿形と吽形の狛猫を見ることができます。
金刀比羅神社の地域は、丹後ちりめんが主要産地として繁栄した場所で、素材となるが蚕や繭などが豊富に取られていました。そこで、蚕や繭を食い荒らすネズミを退治する猫を大事にしていたことから、守り神として猫をモチーフにしたと伝えられています。
また、別の養蚕・生糸・絹の生産を生業とする一大産地の村でも、村内の地蔵寺の本尊に「猫地蔵」を祀っていたのだそう。
その村の川が氾濫し、洪水で流れついた地蔵菩薩と一緒にいた猫を祀り、この地蔵菩薩と猫が蚕を食べるネズミを退治する霊験があるとして、その村の養蚕農家の参詣を集めていました。
このことを近江の商人が聞いて知っていたことから、峰山に機織養蚕の守護神として木島神社が勧請されたことを知ったときに狛猫を奉献されたそうです。
また、蛇や狼、狐などとともに、豊穣や富の象徴として扱われています。
猫は、自分の縄張りを持ち、その縄張りを他者に侵されたときは化け猫になるといわれており、猫が祀られる例は多くないそうですが、全くないわけではないそうです。
毘沙門天の神使「百足(ムカデ)」
みなさんは、ムカデについてどんなイメージを持っているでしょうか?
ムカデは、毘沙門天の神使であることが分かりました。毘沙門天といえば、武神であり、七福神で親しまれる神様の一柱で、五穀豊穣や商売繁盛などの御利益を授ける神様として信仰されていて、戦国武将の上杉謙信を思い起こされます。
全国の毘沙門天を祀る総本山は、奈良県にある信貴山朝護孫子寺にあります。
武神である毘沙門天の神使は虎とされていました。なぜ、原因は不明ですが、今はムカデが神使とされています。
毘沙門天の教えに、「たくさんの足(ムカデ)のうち、たった一足の歩調や歩く方向が違っても前に進むのに支障が出る。困難や問題に向かうには皆が心を一つにして当たるようにとの教えである。」とのことです。(寺の説明)
また、ムカデは鍛冶屋や金属産業を守る神使だったそう。
ですが、ムカデは前にしか進めないことから武士たちから好まれ、甲冑などを作るときに姿や形を多用されていたそうです。
一般には、百足は足が多いので、おあし(銭)がたくさんつくといわれ、金運を呼ぶとして人々の信仰を集めました。
十二支が集まる神社
「十二支」が集まった神社があることもご存じでしょうか?
場所は、京都の稲荷山の裏参道を下ったところにある「伏見稲荷本教間力教会」です。伏見稲荷本教間力教会は、間力大神を御祭神とする神社で、戦後に創建されました。
間力大神は、稲荷神をはじめ稲荷山に住んでいる神様の一人で、「間力」とは、この世の流れをつかさどるエネルギーのようなものといわれています。
伏見稲荷本教間力教会にある「八霊社(はちれいのやしろ)」に宇迦之御魂命の御神像が祀られていて、周りに干支が置かれています。
自分の干支の像やその年の恵方の干支の像を参拝することで、間力のご利益があるそうです。
昔、この土地に建っていた古い家を取り壊したとき、地中から古い金庫が出てきました。金庫の中には、ご神像(宇迦之御魂神:稲荷大神)が書かれた紙が入っており、手に御幣を持ち、雲に乗っておられる神様のお姿が描かれていました。
八霊社にあります八角形の台座は、そのご神像が乗っておられた雲を忠実に再現したものです。台座の上には「戌」「亥」「辰」「巳」などの方角に守り干支を配置しています。また、八霊社の中心のご神像を拝みますと、稲荷山すべての神様に礼拝することができます。(伏見稲荷本教 間力教会公式HPより)
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まとめ
今回は「神社と動物の関係性や意味」について紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
どのようにして動物が神様の使いになったのか、意味がわかった上で参拝に行くと、普段とは違った発見ができて楽しいですよ!
上記で紹介した猫やムカデ、十二支などが祀られている神社も、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
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