毎年4月8日はお釈迦様の誕生日として、全国のお寺や仏教系の保育園や幼稚園で「花祭り」が行われます。
保育園や幼稚園で行われることが多いため、お子さんに「花祭りって何?」と聞かれる機会もあるのではないでしょうか。
本記事では【子供に向けて伝えたい花祭りの由来や大切な想い】をご紹介します。
1. 花祭りとはどんな行事?
花祭りは「灌仏会」のことで4月8日のお釈迦様の誕生日をお祝いする仏教行事です。仏生会や降誕会とも言われています。
お釈迦様の誕生には不思議な伝説がいくつもあります。母親である摩耶夫人は、お釈迦様を身ごもる前に白い像が体の中に入ってくる夢を見たこと。その摩耶夫人の脇の下からお釈迦様が生まれたこと。その時に9つの頭を持つ竜が現れて、天からきれいな水を注いでお祝いしたこと。生まれたばかりのお釈迦様はすぐに7歩歩いて「天上天下唯我独尊」と言ったことなどです。
このような伝説にちなんで、日本では奈良時代にすでに花祭りが行われていたと言われています。
現在ではお寺や仏教系の保育園や幼稚園において宗派を問わず花祭りが行われています。お釈迦様の誕生をお祝いし、子供たちの健やかな成長を祈願する行事として大切なお祭りです。
灌仏会が花祭りとして一般にも知れ渡ったのは明治時代以降だそうです。
2. 花祭りで何をする?
花御堂はなみどう
花祭りでは、たくさんの花で飾られた花御堂を用意します。これはお釈迦様が誕生したルンビニの花園を表しているとされています。
日本でもちょうどたくさんの花が咲き誇る季節なので、花御堂は色とりどりの花で埋め尽くすように飾られ春のお祭りらしい光景です。
誕生仏たんじょうぶつ
誕生仏とはお釈迦様の生まれたときの姿を表した像で、右手で天を左手で地をさしています。生まれたときの姿とされているので大人の姿ではないのですが、お釈迦様はすぐに7歩歩いたと伝えられているためか赤ちゃんではなく、幼児から少年のような姿の仏像が多いです。この仏像は花御堂の中心に安置されます。
この時お釈迦様は「天上天下唯我独尊」と言ったとされており、これは「この世に自分より尊い者はいない」という意味です。しかし、お釈迦様は「自分がこの世で一番偉い」ということを意味したのではありません。
「唯我独尊」の我とは、実はこの世の全ての人々のことであり「全ての人が平等にかけがえのない尊い存在」だと言われています。
花祭りはこのお釈迦様の教えに基づいて、大切な存在の子供たちが健やかに成長することを願う行事でもあります。
甘茶
花祭りでは、花御堂に安置された誕生仏に甘茶をそそぐという習わしがあります。これは、お釈迦様が生まれた時に、9つの頭を持つ龍が現れて綺麗な水の雨を降らせて祝ったという言い伝えに由来しています。
甘茶は、ユキノシタ科の「アマチャ」の葉で作ったお茶のことです。砂糖とは違う自然な甘みがあります。
甘茶には厄除けや鎮静作用、抗アレルギー作用などの効能があるとされており、カフェインやタンニンを含まないので小さな子供や妊婦の方でも安心して飲むことができます。
また、甘茶を飲むと無病息災で過ごせる、甘茶で赤ちゃんの頭を撫でると元気に育つ、という言い伝えがあります。
白い像と稚児行列ちごぎょうれつ
お釈迦様の母親の麻耶夫人は、体の中に白い象が入ってくる夢を見てお釈迦様を身ごもったと伝えられています。この言い伝えから白い象は神聖な動物として花祭りで親しまれており、一部の寺院などでは、白象の模型を子どもたちで引きながら歩いてまわる行事を行っています。
この時に子供たちに化粧をして、平安装束のような衣装を着せて練り歩くのが稚児行列です。
たくさんの花で飾られた花御堂の中の誕生仏はとても可愛らしく、家族で甘茶をかけると幸せな気分になれますね。
3. 子供に伝えたい花祭りの意味
花祭りは仏教を開いたお釈迦様の誕生日を祝う行事ですが、キリスト教を開いたイエス・キリストの誕生日を祝うクリスマスに比べて知名度は低いでしょう。
しかし花祭りの行事を通して、お釈迦様は子供たちが成長するためにとても大切なことを教えてくれています。それは「自分も周りの人もかけがえのない大切な存在であること、差別なく平等な世界に生きてほしいこと」です。花御堂にお花を飾り、誕生仏に甘茶をかけながら子供と一緒に健康な成長を願い、稚児行列ではお化粧や平安装束でお友達と歩く体験をすることができます。
親子で行事に参加することは、仏様の教えだけでなくいのちの尊さ、感謝の気持ちを持つことの大切さを振り返る良い機会にもなるでしょう。
お寺にお参りできなくでも、ご自宅で甘茶を飲みながら親子で話す機会にしても素敵ですね!
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4. まとめ
本記事では【子供に向けて伝えたい花祭りの由来や大切な想い】をご紹介しましたが、いかがでしたか?
花祭りは子供が主役のお祭りです。お釈迦様の誕生日をお祝いしながら子供たちに命の大切さを感じてもらえる良い機会となります。
近くのお寺で花祭りが開催されていたら、ぜひご家族で参加してみては?
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