ふと耳にする『神社仏閣』や『社寺仏閣』。
なんとなく意味は分かるけど、どちらも同じ意味な気がしませんか?
ちょっと似ていて混乱しやすいかもしれませんが、ちゃんと違いがあるんですよ!
本記事では、『神社仏閣』と『社寺仏閣』の正しい使い方と神社とお寺の歴史について、なるべく分かりやすくご説明します。
よく耳にする“社寺仏閣”は間違い?
『神社仏閣』と『社寺仏閣』、これはそれぞれが2つの単語を合わせて作られたもの。
それぞれを辞書で調べると以下のように表記されています。
神社=神の社、神道の神を祀るところ
仏=仏教 閣=建物(楼閣や天守閣のように高く造られた建物、) 社寺=神社と寺のまとめた呼び名 |
あれ?と違和感にお気づきの方もいらっしゃると思います。
実は…
神社仏閣は『神社』+『お寺』+『建物』
社寺仏閣は『神社+お寺』+『お寺』+『建物』
になっているんです。
つまり、よく耳にする「社寺仏閣」は誤った日本語で、「神社仏閣」が正しい表現の仕方といえます。
神社仏閣と言うよりも、なんだか言いやすい社寺仏閣と使いたくなる気持ち、分かります。
しかし、きちんと使うのであれば、『神社仏閣』と言うか、『社寺』というかどちらかにしておきましょうね。
日本語としては社寺仏閣は間違いとされていますが、実は『社寺』という言葉は平安時代の書物にすでに残されています。
室町から江戸時代にかけては「寺社奉公」という制度があり、この奉公を行う役職の人々が「社寺」を一般世間に広めたのが始まりだと言われています。
ややこしいですが、間違えないように注意してくださいね!
そもそもなぜ神社とお寺を混ぜて表す必要があるのか?
神社とお寺、それぞれは歴史も違えば宗教も違います。
ではなぜ一緒にされているのか…ここからは少しだけ歴史のお話をしましょう。
日本古来より神社は“信仰”そのもので、天照大神という神様をはじめ、山や川、風など自然にある全ての物に神様が宿る『神道』から形成されました。
お寺は仏(お釈迦さま)の教えを信仰している仏教(仏の教え)を広め祀るための場所で、インドで開祖し、大陸を通じて飛鳥時代前後(※諸説あり)には日本に伝わったとされています。
お寺にはお墓や如来像などの仏像が置かれているので、神社仏閣の違いをイメージしやすいのではないでしょうか。
こうして比較すると、こんなにもはっきりと違う神社とお寺。
ではなぜ混同して言われるようになったのかとても気になるところですよね。
全く別の宗教として認識すれば良いのでは?と思ってしまいますが、当時の日本人達は違いました。
仏である大日如来が日本へやって来た際に、より多くの人々を救うため、国民が親しみを持っている神々の姿を借りて現れたと言う説もあるからです。
つまりは、まだ馴染みの少なかった仏様は自身の信仰を広めるために、日本に馴染みのある神様の力を借りたということになりますね!
外国から伝わった仏教は、最初は日本古来の神と同じく認識されました。
これでハッピーで終わればよかったのですが、次第に外国の神を崇めることによって日本古来の神から祟りがあるのではないかと、国民は不安になっていきました。
そこで古来の神々の怒りを買わないようにと、仏像の廃棄、寺の焼却等をするようになってしまうのです。
その後、神道の神・天照大神の子孫とされている、聖徳太子が仏教の守護神・四天王像を頭に付けて戦に勝利した事や、後に続く天皇家が仏教の教えを政治に取り入れることで、神道と仏教が日本で独自の成長をしていくことになりました。
…と、全然簡単に説明はできませんが、ざっくりこんな感じです。笑
信仰を大切にしていたからこそ生まれた言葉
もっと深掘りすると複雑で難しい話がたくさん出てくるのですが、日本は八百万の神(たくさんの神様)を信仰している国。
仏教もまた、当時の日本人の心を癒し、拠り所となっていったということですね。
ここでやっと本題に戻りますが、神社とお寺がなぜ混同して言われるようになったか。
それは昔の日本の人たちはとても信仰深く、神道も仏教も大切にしていたからだということでした。
結果的に、日本では
神様をお救いするために、神社の中にお寺が建てられ(神宮寺や八幡宮)
仏様をお守りするために、お寺に神社が建てられ(鎮守社)
神社には仏様が祀られ、お寺には神様が祀られるようになったと言い伝えられています。
歴史を重んじる日本人らしい素敵な考えですね。
3.まとめ
本記事では、『神社仏閣』と『社寺仏閣』の正しい使い方と神社とお寺の歴史ついてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
海外の人たちからすると私たちは無宗教と言われていますが、しっかりとした宗教があったんですね!
神社仏閣とは神道と仏教を表していて、そこには優しい日本の文化が現れていました。
みさなんもぜひ「神社仏閣」を正しい日本語として、使って広めていきましょうね!
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